企業が接待費に使えるのは税務上、一人1万円まで。また1万円を超える場合、企業サイズにより年間の金額上限があり、資本金1億円以下なら年間800万円か接待費総額の50%までの選択制になっています。

私の管理する日本の会社は6月決算。数週間前に決算書を会計士に送ったのですが、わが社の接待費はゼロ円。つまり一年間に1円も接待費がありませんでした。私の記憶が正しければこの10年間で全部で10万円も計上していないと思います。お茶代や喫茶代、会議費すらありません。1つには私が接待嫌いなのと別に食べたいものぐらい自分で払うからであります。

ゼネコンに入社した時、社内接待費の使い方の荒さに目を丸くしたことがあります。ところが不思議なもので入社2-3年すればそれが当たり前になります。「今日は寿司にしますか?」「寒くなったのでフグちりもいいですね」といった具合です。極めつけは開発事業本部に在籍していた際、私が本社の宅建取引主任登録者になっていたのですが、暇つぶしに業者間の不動産売買の「取り持ち」をやっていたら成約してしまったことがあります。上司からは普段「そんなことは街の不動産屋のやることだから手を出すな」と言われていたので恐る恐る上司に報告したところ、「お前はその取引でどんなコストをかけたのか?」と聞かれたので「社内の電話数回とファックスぐらい」というと突如、部員全員を集め、「今日から会社の決算日まで部内飲み食べ放題。つけは全部、こいつに回せ!」と。上司曰く、「会社にそんな多額の利益を献上したらもったいないだろう」と言うわけです。その後部内で飲み食いした費用は2000万円を超えていました。

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秘書時代はもっと過激な交際費の使い方でその頃に私の気持ちはすっかり変わってしまったのです。接待費はバカバカしいと。

北米では接待は基本的にはさほど多いわけではありません。いわゆる顧客を対象にしたコーポレートイベントはありますが、日本でよくお見掛けするような高級店でスーツ族が赤ワインをくるくる回すようなシーンはほとんどお見掛けしません。トロントやニューヨークになると若干多いとは聞きますが、基本的に夜はさっさと帰りたい人が多いし、日本のようなバカ飲みをする人もいません。