ネット上のやり取りでコミュニケーションがどんどん発展し、仲間だけの会話では特別の言葉が使われる。そして、「モテるか、モテないか」がとても重要ー。ネット時代を生きる10代の少年少女にとっては、こうしたことは常識だろうけれど、大人にはいまいち、ピンとこない。筆者も同じだ。
「モテるか、モテないか」という物差しですべてが判断されてしまい、「モテない」と区分けされてしまったときの怒りやくやしさも、大人は十分には理解できないのではないか。
少年たちにとっては「男らしさ」を体現する、父の評価も重要だ。言葉で言われなくても父の気持ちを(いわば勝手に)「想像」し、「父の基準に達しなかった」と自分を責める少年たちもいる。このドラマの主人公のように。
そんな少年たちの葛藤をドラマは1回1時間の4話構成で描き出した。
緊迫感あふれるワンカット撮影
それぞれの回は「ワンカット撮影」で収録された。これはカメラを止めずに最初から最後まで一続きで撮影する手法のことだ。映像が切れ目なく連続して流れるため、臨場感やリアリティが強く感じられ、カメラが動きながら人物や空間を追うことで、空間的な一体感を生み出す効果がある。
俳優たちのパフォーマンス
ワンカット撮影で素晴らしい演技を見せるのが主人公の少年を演じた新人オーウェン・クーパー、その父親役スティーブン・グレアム、刑事役アシュリー・ウオーターズ、フェイ・マーセイ、カウンセラー役のエリン・ドハティである。
衝撃の場面の数々
ドラマにはいくつもの衝撃の場面があるが、よく言われているのが、少年とカウンセラーが向き合う回でのオーウェン・クーパーの迫真の演技だ。ここで少年が一気に本音を見せるあたりなど、今回のドラマが初演技とは思えないほど。ワンカット撮影だからこその迫力が出た。
少年が通う学校を刑事が訪れ、聞き込み調査をする。この時の学校の無秩序さ、生徒の大人に対する敬意の欠如など、日本の学校教育の常識が吹っ飛ぶようなリアルさがある。刑事と息子の会話も、次第に氷が解けていくような気持ちの推移となり、名場面となっている。