2022年2月、米国海洋大気庁(NOAA)は、米国沿岸の各地点における海面上昇の予測を発表しました(Sweetら、2022年)。同報告書では、2050年までにマンハッタンのバッテリー地区の海面が2020年比で1フィート上昇すると予測されています。30年間で1フィートの上昇は、現在の上昇率の2倍以上であり、過去1世紀の平均上昇率の約3倍に相当します。この歴史的背景を踏まえると、NOAAの予測は注目に値します。図7.6に示すように、これは20世紀初頭以降に観測されたものよりも劇的な加速を必要とします。しかし、さらに注目すべきは、Sweetら(2022)が、この上昇は「不可避」であると指摘している点です。つまり、将来の温室効果ガス排出量に関わらず、この上昇は起こります。この予測が現実的かどうかは、10年ほどで明らかになるでしょう。

図7.6 マンハッタンのバッテリーにおける海面上昇率歴史的な30年間の移動平均トレンドと、NOAAが予測する2050年の「固定された」トレンドが示されている。歴史的データ:NOAA潮汐と潮流