私は確か10数年前にスタバがいつかマクドナルドのようになるだろう、とこのブログに記したことがあります。今でもその気持ちは変わりません。その意味合いは廃れることはないけれど、ファッションではなくなるだろうという意味です。4-5年前、マクドナルドのコーヒーが刷新されたとき、安くてうまいと評判だったのですが、爆発的ヒットにはならなかった理由はブランド力と文化を作り出せなかった点だったと思うのです。つまり、マックのロゴ入りコーヒーカップではいくらおいしいコーヒーでもおしゃれに見えないのであります。
私は長年コーヒーショップを経営していたこともあり、近くにあったスタバはライバルでしたが、当時思ったことがあります。それはコーヒーは通勤途上やホテルの宿泊者、観光客が買うのであり、わざわざ車で買いに行くようなディスティネーションビジネスにはならない、よって地元で高評価を得たものが勝つのだろう、と。
私のコーヒーショップもその魂で頑張ったのですが、頑張りすぎて豆を変えたところから調子が悪くなりました。それまでの深煎りのイタリアンコーヒー用豆を使っていたのですが、事情があり、当時流行の兆しがあった浅煎りの繊細なものに変えました。浅煎りなので深煎りのイタリアンコーヒーやスタバのコーヒーのように多少作り方がぶれても味の差が出にくいものと違い、エスプレッソの扱いが難しすぎたのです。そのため、いくら教育してもバイトの子たちのセミオートマシーンから抽出されるコーヒーの味が一定しないという問題を抱えたのです。(特にコンパクションが不一定でした。)最終的にはそのコーヒーショップは売却しましたが、買主は今でも繁盛するコーヒー屋をやっており、嬉しく思います。
スタバはアメリカンカルチャーだと思うのです。それこそマクドナルドと同じぐらい飲食業におけるすさまじい影響力を世に見せつけたと思います。ただ、世界制覇が出来なかったのも事実です。最大の敗北はオーストラリアで完全撤退を余儀なくさせられました。コーヒーの本家、イタリアもダメでした。中国は店舗数では大展開していますが、さらに大きなラッキンコーヒーがあるし、ベトナムは地元大手チェーンが席巻していてスタバはお高いイメージが強すぎます。