lemono/iStock

この記事では、家計の財産所得についての国際比較をご紹介します。

1. 日本の家計の財産所得

前回は国全体の財産所得について、受取と支払いの正味の水準を国際比較してみました。

日本は対外直接投資が大幅に超過している分だけ、財産所得も受取が支払いを超過しており、先進国の中でも正味のプラス額がかなり大きい事になるようです。

それだけ、付加価値の生産に伴う所得以外の海外からの所得流入が大きい事になりそうです。

今回は、家計の財産所得についてフォーカスしてみたいと思います。

まずは国内統計データから、日本円建てでの全体感を確認しておきましょう。

図1 財産所得 日本 家計国民経済計算より

図1が日本の家計の財産所得です。

バブル崩壊までは受取も支払も利子が大きな存在感となっていたようですが、その後は急激に減少しています。

その代わり増えているのが配当ですね。

預金による利子所得から、株式投資による配当所得へと財産所得が変化しているようです。

ただし、財産所得の正味額としては、バブル期よりもやや目減りした水準となっているようです。

今回はこの日本の家計の財産所得の正味の水準が、国際的にみてどの程度なのか国際比較してみたいと思います。

2. 1人あたりの推移

まずは、家計の財産所得(正味)について、人口1人あたりのドル換算値の推移を見てみましょう。

図2 1人あたり財産所得(正味) 家計OECD Data Explorerより

図2が主要先進国の人口1人あたりの家計の財産所得(正味)をドル換算した推移です。

日本は1990年代に高い水準に達した後、減少し停滞傾向が続いています。

アメリカは大きく増加していて、2023年では5倍程度の差が開いている事になります。

近年は日本とフランスが同程度で推移しているのも印象的ですし、ドイツが比較的高い水準なのも興味深いです。

3. 1人あたりの国際比較