牛肉や豚肉やミルクを愛する人々にとっては残酷な結末と言えるでしょう。
他にも意外なものが食べられなくなることがあります。
薬を包むゼラチンは哺乳類などの動物の皮膚や腱などに含まれるコラーゲンから作られているため、アレルギーを起こしてしまうことがあるのです。
またマシュマロのようなお菓子は哺乳類と無関係に思えますが、乳成分が添加されていることがあるため、アレルギーが起こってしまうことがあります。
他にも哺乳類の肉や乳成分が含まれている食品は多岐に及んでおり、アルファガル症候群になった人は大幅に食の自由を奪われてしまうことになります。
しかもこのマダニは極めて貪欲で、住処となる森林に人間が入ったのを感知すると、近寄って噛みつこうとします。
さらに近年、気候変動にともないマダニの活動期間が増加しており、被害者が増え続けていることも指摘されています。
CDCは現在、米国には50万人ほどのアルファガル症候群の患者がいると推測しています。
研究者たちは、マダニをみつけたらすぐに払い落としたりして、とにかく噛まれないようにすることが唯一の防衛法だと述べています。
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参考文献
Health Care Provider Knowledge Regarding Alpha-gal Syndrome — United States, March–May 2022
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/72/wr/mm7230a1.htm?s_cid=mm7230a1_w
Regions Where Ticks Live
https://www.cdc.gov/ticks/geographic_distribution.html
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。