強制的にビーガンにさせられるかもしれません。
世の中にはマダニに刺されることで牛や豚など哺乳類の肉や乳製品を食べられなくなる「アルファガル症候群」という病気があります。
この症状は2023年にアメリカで急増していましたが、医師でもその症状をあまり良く知らない場合が多く、米国CDC(アメリカ疾病予防管理センター)が医師たちの症例にかんする知識を調査しところ、調査対象となった医師のほぼ半数がアルファガル症候群について知らず、発症した場合に適切な処置ができない可能性が示されています。
今回はマダニに刺されるだけでなぜ「肉類」を食べられなくなるのか、この不思議な症状を解説するとともに、治療法の有無や予防策についても紹介したいと思います。
肉好きやアスリートにとって致命的となるマダニは、いったいどこに潜んでいるのでしょうか?
発表内容の詳細は2023年7月28日にCDCのホームページにて公開されました。
目次
- 刺されると「肉」が食べられなくなるマダニが急加
- アルファガル症候群に治療法が存在しない
刺されると「肉」が食べられなくなるマダニが急加

「孤独の星」の名前を持つマダニに刺されると、哺乳類の肉(牛肉、豚肉、鹿肉など)、乳製品、ゼラチン、一部の薬剤に対してアルファガル症候群 (AGS)という危険なアレルギーを引き起こす可能性があります。
アルファガル症候群として知られるこの症状は、ほとんどの非霊長類哺乳類の肉に含まれるアルファガル(ガラクトース-α-1,3-ガラクトース)に対する免疫の誤反応によって引き起こされます。
通常、人が牛や豚などの非霊長類哺乳類の肉を食べても、体は肉の部品の1つに過ぎないアルファガルには反応しません。
しかし、家畜を噛んだマダニが家畜の肉の部品(アルファガル)を体内に溜め込み、さらに人間を噛むことでアルファガルが体内に入り込むと厄介なことがおこります。