この発見は学問的な意義だけでなく、将来的な医療にも役立つ可能性があります。

たとえば、抗がん剤治療を受けた人の多くが「少しの冷たさでも強い痛みを感じる」という副作用(寒冷アロディニア)に悩まされていますが、今回のように冷感専用回路が特定されることで、その原因解明や新しい治療法の開発につながるかもしれません。

さらに、こうした「感覚の専用回路」の研究が進めば、痛みやかゆみなど他の感覚についても、新しい発見や生活の質の向上が期待できます。

「冷感増幅回路」の発見は、心地よさや不快さといった人間の感覚の不思議を解き明かす第一歩となる重要な成果です。

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元論文

A dedicated skin-to-brain circuit for cool sensation in mice
https://doi.org/10.1038/s41467-025-61562-y

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。

編集者

ナゾロジー 編集部