「もうひとつの収穫」──水田クレジットがもたらす新たな収益

こうした課題に対して、Green Carbon社が提案するのが「水田クレジット」です。 これは、水田の“中干し”期間を延ばすことでメタンの排出を抑制し、クレジットとして価値化する仕組み。

水田に水が張られて酸素が届かない状態では、嫌気性微生物が有機物を分解し、温室効果ガスのメタンを発生させます。中干し期間を過去2年の平均より7日延長することで、その期間分がクレジットの対象になります。延長による収穫への影響を懸念する声もありますが、リスクがある場合は中断でき、ペナルティも発生しません。

【一次産業×脱炭素で地球を救う #1】売るのは「米」だけじゃない。環境価値が農家を変える — 水田クレジット最前線の画像2
(画像=『Business Journal』より引用)

吉見氏は、水田クレジットを活用したGreen Carbon社の取り組みについて、「カーボンクレジットを、米農家において副収入となり得る新たな収益として考えている」と話します。

Green Carbon社では、水田クレジットを1ヘクタールあたりの価格で算出しており、エリアによって差があるものの、大規模農業の場合は数十万〜数百万円規模の副収入になることもあります。高騰する農業資材費や人件費の一部を補える可能性があるのです。

現在、導入しているのは全体の3%ほどで、平均耕地面積40ヘクタール以上の大規模農家が中心。これは面積が広ければ広いほど、水田クレジット導入における手間に対して、得られる収益のメリットを感じやすいためでしょう。 30〜50代の若手農家の関心が高く、次世代の担い手が農家の新たな価値向上の一手に取り組み始めています。

【一次産業×脱炭素で地球を救う #1】売るのは「米」だけじゃない。環境価値が農家を変える — 水田クレジット最前線の画像3
(画像=『Business Journal』より引用)