【一次産業×脱炭素で地球を救う #1】売るのは「米」だけじゃない。環境価値が農家を変える — 水田クレジット最前線の画像1
(画像=『Business Journal』より引用)
気候変動対策と聞くと、多くの人が工場やエネルギー産業などの「二次産業」を思い浮かべるかもしれません。実際、CO2排出量を意識し、カーボンクレジットの購入や創出に積極的な企業も増えています。 しかし、地球温暖化に加えて「食」を取り巻く不安も高まるなか、農業や酪農などの「一次産業」もまた、脱炭素の担い手として注目されつつあります。

本連載【一次産業×脱炭素で地球を救う】では、これまで環境配慮とは縁遠いとされてきた一次産業の現場が、脱炭素というテーマとどう向き合っているのかを追っていきます。

第1回のテーマは、Green Carbon株式会社が導入を推進するネイチャーベースのカーボンクレジット「水田クレジット」。「農家の皆さまの幸せにつながることが、最も重要」と語るGreen Carbon社の吉見氏に、米農家が直面する課題と、水田クレジットがもたらす可能性を伺いました。

米農家が直面する、3つの大きな課題

日本の一次産業が多くの課題を抱えていることは、すでに多くの人が知るところです。なかでも米農家が直面しているのは、主に以下の3つです。

  • 後継者不足
  • 肥料・農薬の価格高騰
  • 米単価の不安定さ

吉見氏によれば、米農家の平均年齢は65歳以上。40代でも「若手」とされるほど高齢化が進み、担い手不足に悩まされています。新規就農への意欲があっても、例えば重機の購入など数千万円単位の初期投資が障壁となり、参入が難しいのが現状です。 さらに肥料や農薬は主に輸入に頼っているケースが多く、昨今の国際情勢の影響で価格が高騰。それが経営に直結する深刻な負担になっています。

そして、最近では米の単価も不安定。価格が上がれば利益は出やすくなりますが、一方で消費者の「米離れ」を招くリスクもあります。需要の減少が急激な価格下落を引き起こし、経営を圧迫する場合もあるのです。 生産者・消費者の両方にとって、適正価格が定まらない状況は大きなリスクです。