動物との触れ合いには不思議な癒しの力があります。
もふもふした毛に手を伸ばし、穏やかな瞳と目を合わせるだけで、心がスッと軽くなる瞬間を経験したことがある人は多いでしょう。
しかし、日常的に犬と触れ合える人は限られており、動物を飼っていない人にとってその癒しは「遠い存在」でした。
そんな中、たった5分の“ある犬の動画”がストレスを軽減するという驚きの研究が発表されました。
この研究を行ったのは、カナダのブロック大学(BrockU)とブリティッシュ・コロンビア大学オカナガン校(UBCO)の共同研究チームです。
この成果は、2025年5月2日付の『Human-Animal Interactions』誌に掲載されました。
目次
- 人々を癒す「セラピードッグ」たちの効果は動画でも得られる?
- セラピードッグの5分の動画がストレスを低下させると判明
人々を癒す「セラピードッグ」たちの効果は動画でも得られる?
セラピードッグとは、心のケアを目的として特別に訓練された犬のことです。
彼らは病院、老人ホーム、学校などで人々と触れ合い、精神的な安心や癒しを提供する役割を担っています。
盲導犬のような身体的サポートを行う補助犬とは異なり、セラピードッグの主な働きは情緒的な安定やストレスの緩和です。

従来、セラピードッグの効果は対面で直接触れ合うことが前提でした。
撫でる、目を合わせる、毛の感触や体温を感じるといった、五感を使ったやり取りこそが癒しの本質だと考えられてきたのです。
しかし、新型コロナウイルスの流行により、対面でのケアが困難となった時期、UBCOが運営するBARK(Building Academic Retention through K9s)プログラムの研究チームは、バーチャルで癒しを提供することに挑戦しました。
彼らが開発したのが、Virtual Canine Comfort Module(VCCM)です。