こうした背景から、世界中で「痛みのない・正確な乳がん検診」の開発が望まれていました。

そこで登場したのが、ニューヨーク州立大学バッファロー校(UB)の研究チームが開発した「OneTouch-PAT」です。
この装置では、患者が検査台に立ち、乳房を柔らかいパッドに軽く押し当てるだけで3Dスキャンが自動で行われます。
検査はたったの1分以内で完了し、圧迫による痛みはゼロ。
機器の操作も簡単なため、導入もしやすいというメリットがあります。
では、OneTouch-PATの具体的な具体的な仕組みを見てみましょう。
2種類のイメージング技術を併用する「OneTouch-PAT」
OneTouch-PATの中核は、「超音波イメージング」と「光音響イメージング」という2種類の技術を組み合わせている点です。
まず光音響イメージングでは、レーザー光を乳房内部に照射し、光を吸収する分子が熱を持って膨張するときに発生する音波を検出します。
これは、がん組織に特有な血管の分布や密度を鮮明に映し出すのに非常に有効です。

これに加えて、超音波による構造画像を同時に取得することで、がんの形・位置・深さなど、詳細な情報を一度に把握できます。
通常これらのシステムは、専門家が手動でスキャンするか、別々の装置を使用する必要があります。
OneTouch-PATでは、患者が同じ立ったままの姿勢で両方のスキャンを行い自動的に組み合わされるため、操作ミスなども生じません。
さらに、研究チームは独自に開発した3次元の深層学習ネットワークを導入。
これにより、解像度の向上、血管の強調表示、ノイズ低減 などが実現し、医師が診断しやすい鮮明な3D画像を自動生成できるのです。
