
8月2日に開催された2025明治安田J2リーグ第24節で、11位の北海道コンサドーレ札幌は4位のサガン鳥栖と対戦した。5月25日に行われた第17節では1-2と敗戦した札幌にとって、負けられない一戦であった。
縦への狙いがハッキリした札幌に対し、コンパクトな陣形を敷いた鳥栖が相手の攻撃を封じる時間が続き、試合はスコアレスで後半へ。札幌はサイドチェンジを駆使してサイド攻撃を活性化させた。そして77分、MF田中宏武の放ったクロスボールを鳥栖GK泉森涼太が取り損ねると、MF荒野拓馬がこぼれ球に即座に反応して先制点を挙げた。これが決勝点となり1-0で試合は終了。札幌が2試合ぶりの勝ち点3を獲得し、1年でのJ1昇格に望みをつなげた。
ここでは、好調の鳥栖を相手に勝利した札幌で、岩政大樹監督がどんな采配を振るったのか紐解いていく。

鳥栖のキーマン封じに成功
第23節のジュビロ磐田戦(1-5)では、右ウィングバック(WB)を務めるFWジョルディ・クルークスに自由を与えてしまい大敗を喫した札幌。その後、約3週間の中断期間中、鳥栖戦への対策をいかに講じるかがポイントだった。
鳥栖のストロングポイントは、左WBを担うMF新井晴樹のドリブルを活かした左サイド攻撃や、2シャドーの一角に入るMFヴィキンタス・スリヴカが起点となるリズミカルな攻撃だ。
新井の対策として、今節では右WBに入ったDF髙尾瑠が最終ラインまで下がりサイドのスペースを埋め、右センターバック(CB)のDF西野奨太がボックス内への侵入を防ぐことに成功。新井を自由にさせなかったことが、鳥栖の攻撃停滞に一役買っていた。
また、2シャドーの左に入ったスリヴカもキーマンの1人だった。スリヴカが低い位置まで下りてボールを受け、味方との密なパス交換で相手DFを崩しながらゴールへと迫る形は、鳥栖の良い攻撃のパターンの1つであるが、札幌はこの攻撃パターンに対してどのような対策を取ったのだろうか。