なお、今回の結果をもって、ただちに子宮頸がんワクチンを中止するべきと主張するつもりは全くありません。論文にもそのことは明記してあります。中止するべきかどうかの判断は、重篤な副反応の発生率とワクチンの有効性(子宮頸がんの発生をどの程度抑えることができるか)とを鑑み、包括的になされるべきものです。

今回の結論は、子宮頸がんワクチンの副反応で苦しんでいる人の救済認定のエビデンスとして役立てるべきと、私は考えます。

【補足1】 論文では、疾患ではなく重篤な症状に重点をおいた分析をすることの重要性を指摘しています。これは、副反応は従来の診断分類体系では容易に捉えられない可能性があるためです。このことは、他の研究者も指摘しています。

【補足2】 論文では言及しませんでしたが、有害事象は接種3か月~2年後にも発生している可能性をグラフは示唆しています。接種後何日までを救済の対象とするべきかは、重要な論点です。