「めまいがする」という有害事象のグラフです。横軸が接種日から有害事象の発生までの月数で、縦軸が事例数です。有害事象の発生日が接種日の前の場合は、マイナスの数値となります。

グラフより、プラスの数値の事例がマイナスの数値の事例より多いことが分かります。もし、有害事象が偶発的に発生しているのであれば、両者の事例数は、ほぼ同じになるはずです。したがって、プラスの数値の事例が多いことは、ワクチンが有害事象の発生に影響を与えていることを示唆しています。

「物覚えが悪くなった」という有害事象のグラフです。プラスの数値の事例が多いという不均一な分布となっています。ワクチンが有害事象の発生に影響を与えていることを示唆しています。

ここで問題となるのは、報告バイアスなどのバイアスにより、グラフが不均一な分布を呈した可能性です。

「足が冷たい」という有害事象のグラフです。このグラフで重要な点は、接種後0~2月を除くと、プラスの数値の事例数とマイナスの数値の事例数とほぼ同じであり、均一に分布しているという点です。これは接種後0~2月の期間以外では、有害事象が偶発的に発生していることを示唆しています。

「月経不順」という有害事象のグラフです。接種後0~2月を除くと、均一に分布しています。

これらの2つのグラフの均一な分布は、今回使用したデータセットには、報告バイアスがほとんど存在していないことを示唆しています。これは偶発性分析においては重要な点です。何故ならば、報告バイアスのあるデータセットは偶発性分析では使用できないためです。

報告バイアスがほとんど存在していないことが確認できたため、「めまいがする」、「物覚えが悪くなった」などのグラフの不均一な分布が報告バイアスによるものではなく、ワクチンが有害事象の発生に影響を与えた結果、不均一な分布になったと解釈できるわけです。

名古屋サーベイで調査された24の有害事象のうち6~22の事象において有意差が認められました (年齢階層分析やP値補正の有無により有意差ありの事象数は異なる)。有意差が認められた事象は、「関節やからだが痛む 」、「集中できない」、「視力が急に低下した」、「めまいがする」、「物覚えが悪くなった」、「簡単な計算ができなくなった」、「普通に歩けなくなった」、「手や足に力が入らない」などです。