また、鷹やハヤブサなどの猛禽類を訓練して飛ばす「鷹匠」戦術も知られています。
自然な捕食者を使うことで本能的な恐怖を与えることができますが、猛禽類の管理は非常に難しく、常に専門家が必要になります。
さらに、警備犬を滑走路に放つ方法や、ドローンで追い払う技術も登場しましたが、それらも持続性やコスト、天候への依存性といった課題を抱えていました。
そしてここにきて登場したのが、次世代の“動くかかし”とも言える存在、ロボット・コヨーテです。
野生動物を追い払う時速32kmの高速「ロボット・コヨーテ」

米陸軍ERDCが開発したこのロボット・コヨーテは、名前の通り「コヨーテ」に似せた外見を持つロボットです。
「ロボット・コヨーテ」の開発は、当初Boston Dynamicsの四足歩行ロボット「Spot」をベースに試験が行われました。
しかし、動物を効果的に威嚇するには速度が不十分であることが判明。より高速で機動性のあるラジコンカーへと転換されました。
現在は、Traxxas社のX-Maxxという四輪駆動車がベースとなっており、最高時速32km/hという素早い動きが可能です。
これにプラスチック製のコヨーテの人形を乗せることで、「動くコヨーテ」に仕立て上げました。
その姿はどこか可愛らしいのに、動物たちにとっては紛れもない天敵。
コストは1台あたり約3000ドル(約44万円)と、軍用装備としては非常に低コストです。
ここで気になるのが、「なぜコヨーテなのか?」という点です。

コヨーテ(学名:Canis latrans)は北アメリカ全域に分布するイヌ科の捕食動物です。
小型の哺乳類や鳥を捕まえて食べることから、多くの動物にとって本能的な「恐怖の対象」となっています。
特にウサギやシカ、地面で採食する鳥類などは、コヨーテの姿を見ると反射的に逃げ出すほどです。