刻まれた謎のシンボル — 4本指の足跡と渦巻く宇宙

 2015年と2016年、グラスゴー大学の考古学チームは、ついに「コクノストーン」を一時的に発掘。最新の3Dスキャニング技術を駆使して、その表面に刻まれたシンボルの全貌をデジタルデータとして記録することに成功した。

「コクノストーン」に刻まれているのは、主に以下のようなシンボルだ。

** カップ・アンド・リングマーク: ** くぼみ(カップ)とその周りを囲む同心円(リング)。ヨーロッパの巨石文化で広く見られるが、「コクノストーン」のものは特に精巧だ。

** スパイラル(渦巻き模様): ** 生命や宇宙の循環を思わせる、芸術的な渦巻き。

** 輪状の十字: ** 楕円形の枠の中に刻まれた十字。宗教的な意味合いが推測される。

** 4本指の足跡: ** 最も謎めいたシンボルの一つ。人間のものとは思えない、指が4本しかない二組の足跡。神話上の存在か、あるいは何かの象徴か、議論が続いている。

 これらの彫刻は一体何を意味するのか。その解釈をめぐっては今も数多くの説が提唱されている。

5000年間、土に埋められた謎の巨石「コクノストーン」は宇宙の地図か、古代の儀式の祭壇か?の画像3
(画像=画像は「Ancient Origins」より)

「コクノストーン」の正体—地図か、祭壇か、それとも…

「コクノストーン」に刻まれたシンボルの意味については、まさに諸説入り乱れている。

** 地図説: ** 周辺地域の集落の位置を示す、古代の地図ではないかという説。

** 天体図説: ** 太陽や星の動き、さらには日食までも予測するための、壮大な「宇宙の地図」だとする説。1930年代に研究者ルドヴィック・マンが提唱し、彼は彫刻を色分けしてその理論を証明しようと試みた。

** 儀式の祭壇説: ** 彫刻の溝に牛乳や水を注ぎ、豊穣や再生を祈る儀式に使われた祭壇だという説。「子宮と墓、再生のシンボル」と解釈する研究者もいる。

** 単なる芸術説: ** 特定の意味を持たない、純粋な装飾や芸術表現である可能性。

 これらの説はいずれも決定的な証拠を欠いており、「コクノストーン」の本当の目的は、今も厚い謎のベールに包まれたままだ。

5000年間、土に埋められた謎の巨石「コクノストーン」は宇宙の地図か、古代の儀式の祭壇か?の画像4
(画像=By William A. Donnelly (1847-1905), (active 1860 – 1903).Reference–The Urban Prehistorian, Public Domain,Link)