また、ナトリウムやカリウムが尿の排出を抑える働きを持ち、水分を体内にとどめやすくします。

ちなみに、脱水症状の治療を目的として開発された経口補水液にも同じメカニズムが当てはまり、これらには少量の糖、ナトリウム、カリウムなどが含まれています。

ただし、糖分が過剰になると逆効果になることもあります。

たとえばオレンジジュースはBHIが比較的高いものの、糖濃度が高すぎる場合には、腸内の浸透圧によって水分が逆流し、脱水を招く可能性があります。

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カフェインやアルコールも量が多すぎなければ、すぐに水分が出てしまうわけではなかった / Credit:Canva

また一般的にカフェインには利尿作用があると考えられていますが、本研究では摂取量が250〜300ミリグラム未満であれば、尿量に有意な影響を与えないことが確認されました。

コーヒーや紅茶に含まれるカフェイン量はおよそ80〜200ミリグラムであり、通常の摂取量では水とほぼ同等の水分保持力を示します。

また、アルコールに関しても、4%のラガービールでは水と比較して特段の利尿作用は観察されませんでした。

もちろん、この研究にはいくつかの限界があります。

まず、対象者が健康な成人男性のみであるため、女性や高齢者、病気を持つ人々に対する効果は未検証です。

また、飲料の成分が複合的であるため、個別成分の影響を単独で評価することが難しいという点もあります。

さらに、観察期間が4時間と短期であるため、長期的な水分保持については考慮されていません。

それでも、この研究は私たちに大切な視点を与えてくれます。

「のどが渇いたら水を飲む」という考え方は今でも間違いではありません。

しかし、長時間の作業や暑い環境下では、何を飲むかによって体内の水分保持に大きな違いが出ることが、この研究から明らかになっています。

「何かを飲むときには,それがどれだけ体内に留まるのかも考える」