2025年に入り、米国の大手テクノロジー企業を中心に、人員削減の動きが加速しています。1〜7月に解雇・レイオフされた人数は約9万人に達し、前年同期から約4割も増加しました。

こうした動きは一見すると企業業績の悪化に起因するように思えますが、実態は逆で、アップル、マイクロソフト、アマゾンなど主要5社は軒並み増収増益を記録し、4〜6月期の純利益合計は1151億ドル(約17兆円)に上りました。つまり、好業績にもかかわらず、企業は積極的に人件費の削減に乗り出しているのです。

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背景には、AI(人工知能)の進化と、それに伴うビジネスモデルの変容があります。マイクロソフトのナデラCEOが語るように、既に「コードの2〜3割はAIが書いている」とされ、エンジニアや販売部門、さらには間接部門に至るまで、人手を必要としない体制が整いつつあります。

企業はこの変化をコスト構造の見直しと再投資の好機ととらえ、AI関連インフラ(高性能半導体やサーバー)への投資を優先する一方で、余剰人員の整理を進めているのです。