また、ストレスに対する情動コントロール能力にも優れているため、心身の負担が少なく、高血圧リスクが下がるのです。
一方、予想外の結果となったのが「開放性」の高さと高血圧の関係です。
開放性とは、新しい経験やアイデアを受け入れる柔軟性や、好奇心、想像力の豊かさなどを反映する性格特性です。
これまでの研究では、開放性の高い人は創造的で心理的にも柔軟であり、ストレスに対しても適応的とされ、むしろ心血管系に良い影響があると考えられてきました。
しかし今回の研究では、開放性が高い人ほど、持続性高血圧のリスクがやや高まるという意外な関連が見られました。
なぜこのような逆の結果が出たのでしょうか?
チームは、開放性が持つ複数の側面──たとえば「感情面の開放性」と「行動面の探索性」──が異なる影響を与えている可能性に言及しています。
感情的に開かれている人はストレスからの回復が早い一方で、探索的で刺激を求める人は生活リズムが不規則になりがちであり、それが慢性的な高血圧につながるのかもしれません。
さらに本研究のデータは、COVID-19パンデミック初期(2020〜2022年)という、心理的に不安定な時期に収集されたものです。
外出制限や社会的孤立の影響により、開放性の持つポジティブな側面が十分に発揮されなかった可能性も指摘されています。

今回の研究は、私たちの「性格」という見えにくい個性が、病気のリスクにもつながっていることを明らかにしました。
特に誠実性のように、健康を守る性格特性を育むことは、薬や治療に頼る前の“第一の予防策”になるかもしれません。
一方で、開放性のように一見ポジティブな性格特性であっても、環境や状況によっては逆に健康を損なう可能性があるという事実は、今後の個別化医療において重要なヒントとなるでしょう。
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参考文献
性格で高血圧リスクを予測 —7,300人の調査で判明した性格と高血圧リスクの関係—
https://www.waseda.jp/inst/research/news/81724