このように、両クラブともシーズンの序盤・中盤では上位争いに加わる場面がある反面、重要な終盤戦で勝ちきれない展開が目立ち、昇格にあと一歩届かない状況だ。


ヴァンフォーレ甲府 写真:Getty Images

J1を引きずる中途半端な補強と編成

J2において重要なのは、予算規模に見合った編成と泥臭い試合で勝ち点を拾うスタイルの確立だ。ところが、J1経験クラブの多くは過去の栄光を捨て切れず、J1でも通用しそうな選手を中途半端に集めてしまう。

問題は、そうした補強が「J2で勝ちきる」ための設計になっていないことだ。例えば高さやセカンドボールへの対応、連戦への耐久性といったJ2特有の要素に目が向いていないと、技術があっても勝率は上がらない。また、シーズン後半に失速するクラブはターンオーバーや若手育成への意識が低く、選手層が薄い。補強面では経験値のある選手に依存する一方で、怪我人発生時の代替がないなど、シーズン全体を見通したチームづくりが不十分だ。

攻撃的なサッカーに固執した結果、本来必要とされる「堅実に守って勝ち点1を積む力」が疎かになり勝ち点を積み上げられない。いかにしてJ2仕様の「勝てるチーム」を作れるかが問われる。

いわきFC 写真:Getty Images

“現実的視点”を欠いたクラブ運営

J2クラブの多くが直面する「経営とサッカーの両立」問題。J1を目指すなら、それに見合った投資とビジョンが必要だが、財務上のリスクも常に伴う。ところが一部のクラブでは、目先の昇格を狙って高年俸選手を獲得するが、下部組織や地域密着の活動は疎かになっている。

J2では勝敗以上に「地域とどうつながり、どのように支えてもらうか」が問われる。いわきFCや藤枝MYFCのように、独自の育成方針や経営理念で支持を得ているクラブは、未来への信頼を勝ち取っている。