英BBCはトランプ政権1期目で首席戦略官を務めたスティーヴ・バノン氏のコメントを紹介している。曰く「教皇レオ14世とトランプ大統領の間で摩擦が起きる。ホワイトハウスとバチカンの関係が緊張するだろう。そして最終的には米国のカトリック信者が分断される可能性もある」というのだ。

レオ14世は前教皇フランシスコのクローンではない。ペルーで長い間宣教師として歩んできたレオ14世は貧者、弱者への思いが深いという点でアルゼンチン出身のフランシスコ前教皇と類似しているが、相違点も明らかになってきた。

新教皇レオ14世(本名ロバート・フランシス・プレボスト)は人生の半分をアメリカ国外で過ごした。アウグスチノ会時代を経過した後、宣教師としてペルーで24年間暮らし、最初は貧しい農村地帯のチュルカナスで、その後はトルヒーリョで神学校の校長および教会法の教授となり、2015年からはチクラヨの司教として歩んだ。そしてフランシスコ前教皇は2023年、プレボスト司教をバチカンに招き、司教省長官に任命し、その直後枢機卿に任命した。その2年後、プレボスト枢機卿はローマ教皇に選ばれたわけだ。

ところで、新教皇レオ14世はチクラヨ司教時代、ペルーの学校カリキュラムにおける「ジェンダーイデオロギー」に反対し「存在しないジェンダーを助長する」と述べている。2021年には、大衆文化における「同性愛のライフスタイル」と同性家族への共感を批判している。ただし、「フィドゥシア・サプリカンス」宣言については、全面的に支持することも拒否することもしていない。本人としては各国の司教協議会が「文化の違いを考慮し、それぞれの地域の状況に応じて、そのような指示を解釈し適用するべきだ」と述べている。非常にクールな判断だ。

LGBT問題ではレオ14世とバーチ氏ら米保守派との間には大きな違いはない。トランプ大統領の政策と明らかに相違があるのは移民・難民政策だろう。ペルー宣教師だったレオ14世は難民に対しては強制送還などは絶対に受け入れられないテーマだ。その点、前教皇フランシスコと同じだ。