水のpHの低下により、サンゴ礁の石灰化率が低下する懸念があります。しかし、サンゴ礁は既にpHの大きな変動に耐えています。その変動の一部は、礁内の日中の光合成活動に起因しています。測定されたpH値は、日中は9.4から夜間に7.5まで変動しています(Revelle and Fairbridge, 1957)。De’athら(2009)は、オーストラリアのグレートバリアリーフ(GBR、世界最大のサンゴ礁生態系)の一部の地域で、1990年以降、石灰化率が14%減少したと報告しました。これは、水温の上昇とpHの低下に起因するものと仮定されました。しかし、Riddら(2013)は、その報告が偏ったデータ分析に基づくもので、修正後には石灰化率に変化がないことを示しました。それでも、元の論文が引き起こした警鐘は、元の研究への引用数(541件)が修正論文への引用数(11件)を大幅に上回る(2025年4月30日現在)ことからも、依然として継続しています。