過去の学びに胡坐をかいていては、未来に居場所はない。求められるのは、現在進行形での学びと、アップデートされたスキルの継続的な蓄積である。
リスキリングに背を向ける日本人
にもかかわらず、日本人は世界的に見ても「学び直し」に対して極めて消極的である。リクルートワークス研究所の2023年報告によれば、コロナ禍後に職業訓練の参加率は一部回復したものの、自主的にリスキリングに取り組む労働者はわずか15%にとどまる。
総務省の2021年社会生活基本調査では、社会人が「学習・自己啓発・訓練」に充てる時間は1日あたりわずか7分。文化庁の2023年調査では、16歳以上の日本人の52.3%が「月に1冊も本を読まない」とされている。
さらに、経済産業省のデータによると、企業が社員の社外学習費を負担している割合は2.3%。OECD平均(17.8%)と比べても、極めて低水準である。加えて、68%の従業員が「リスキリングは雇用主が用意するべきもの」と考えているというデータもある。これは裏を返せば、個人の学習への主体性の欠如を示している。
生成AIの活用状況も同様だ。日本は国際的に見て利用率が低く、「有料プランに課金する余裕がない」といった声もあるが、無料プランであっても活用している人は多くない。そもそも、今の時代はコストをかけずとも学べる環境が豊富に整っている。新興国の若者が猛烈に学んでいる事実を踏まえれば、単なる金銭的問題では説明がつかない。結局、根底にあるのは「学び続けようとする意欲の欠如」なのである。
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学歴は重要である。だが、それは「地盤」であって「武器」ではない。今後、生き残るのは、時代の変化に適応し、自らの知識とスキルを“常に上書きし続けられる者”である。
リスキリングこそが、自分の市場価値を維持し、変化をチャンスに変える唯一の手段である。
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