では統計局長が改ざんや政治的理由による調整が行えるようなものなのか、一応、私なりに探ってみましたが、計算方法は高度な計算式の上に成り立っており、その与件を変えない限り小手先の修正はできないように見えます。ということは統計データ発表後に計算データの基準となる民間企業約13万社と67万の政府機関事務所の一部から修正報告がなされたと想定するのが妥当かと思います。もう1つはデータ提出期限に間に合わなかった企業が多く生じ、遅れて出した数字によくないものが多くあり、統計のぶれが生まれた可能性もあります。もしも企業部門でストライキなどが起きるとその数字は反映されるのですが、このところ大規模なストライキが起きていたという報道はなかったはずです。

では表面に表れない修正ですが、私の想定は雇用の自然減に対して補充採用がかかっていないのではないかと思ってます。失業率の細かい分析を見ると27週間以上失業している人はこの1年で18%増加しており、企業がトランプ関税に関してその先行きの見通しが立てられない状態にある、これが答えではないかとみています。もう一つの可能性はトランプ氏が不法外国人労働者を追い出した結果、正当な外国人労働者も何らかの理由で職を離れた可能性もあるかもしれません。

ではFRBはどうするのでしょうか?パウエル氏は先週、不動の姿勢を見せましたが、さすがこの統計局の発表は青天の霹靂ではないかと思います。そして7月度の雇用も10万人に達しておらず雇用の健全性は保たれていないと言えます。

ただ、その究極の原因はトランプ氏の関税や移民政策にあり、金利を引き下げても雇用は戻らない可能性が出てきます。企業は様子見を続けるでしょうし、政府部門の雇用が増える状況にもないと考えます。とすれば雇用市場だけ見ればContraction つまり収縮が起きておりpoint of no return (引き返し不能)となりつつある懸念があります。