黒坂岳央です。
有名な起業家や人気のインフルエンサーが何かを発信すると、あたかも絶対法則のように拡散されることがよくある。いわゆる「何を言うかより誰が言うか」で判断しているということだ。
だがそのような姿勢でいる限り、一生他人の一挙手一投足に振り回され続けるし、フェイクニュースに騙されてしまうだろう。その逆に「自分だけは絶対騙されないぞ!」と過剰に疑心暗鬼になると、一周回って陰謀論に振り回される。では一体、どうすればいいのか?
筆者からの提案は「信じず、まず検証せよ」である。

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人間は必ず間違える
まず理解すべき前提は、どんなに著名な人物でも、優秀な人でも必ず間違えるという事実だ。
過去には著名な人が推奨した投資法に飛びつき、そのバブル崩壊で大きな損失を被った人も少なくない。また有名な健康法を盲信し、自分に合わない方法を続けて健康を損ねるケースもある。
たとえば「酒は百薬の長」はすでに誤りと知られているが、高齢者の中には「テレビの芸能人がいっていたから、えらい先生がいっていたから」を根拠に強く信じて「健康効果」を期待して飲み続ける人は少なくない。
もちろん、間違える事自体は責められない。問題は他人の判断ミスを「誰が言ったか」という理由で無批判に受け入れる限り、自分自身の教訓にはならず、結局また別の有力者を探し続ける悪循環に陥ってしまうことにある。他人を盲信する限り、せっかくの痛い経験をしても教訓として自分の人生に反映出来ないのだ。
そもそも発信者が提供できるのは「最大公約数的な解」であり、個人に完全に適したピンポイントの解決策ではない。「いいね数」や「バズ」といった指標は大衆の関心や感情を示すものに過ぎず、それが自分にとっての正解である保証はどこにもない。
たとえば、「結婚は墓場、子供は負債」とか「会社員は搾取されているかわいそうな存在、資本家こそ最強」といった投稿はよくウケるテーマだが、筆者という1サンプルについていえば、こうしたよくウケる提案はまったく当てはまらなかった。