中国やロシアなど周辺国の海軍活動が活発化しており、日本の排他的経済水域(EEZ)や領海を航行する外国艦艇の監視が重要になっている。
② 護衛艦の負担軽減老朽化した護衛艦の代わりとして、より省人化・低コストで運用できる哨戒艦を導入することで、護衛艦を本来の任務である対潜、対空戦闘とシーレーン防衛に集中させる。
③ 人員不足への対応少子化によって自衛官の確保が難しくなっている中、哨戒艦は自動離着桟機能や遠隔操作の監視・消火システムなどを備え、少人数での運用が可能な設計になっている。
④ 将来的な海外派遣の可能性哨戒艦は沿岸警備が主な任務だが、災害派遣や国際協力活動など、海外でのプレゼンス強化にも活用できる。
つまり、哨戒艦の建造は、「比較的コストがかからない効率的な監視船」を増やすことで、日本の安全保障と国際的な責任を両立させようとする動きである。第二次世界大戦においては、日本にこうした専門の哨戒艦を建造する余裕はなく、漁船改造の特設船が使われるなど、多くの犠牲者が出たことは返す返すも残念である。
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藤谷 昌敏 1954(昭和29)年、北海道生まれ。学習院大学法学部法学科、北陸先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科修士課程卒、知識科学修士、MOT。法務省公安調査庁入庁(北朝鮮、中国、ロシア、国際テロ、サイバーテロ部門歴任)。同庁金沢公安調査事務所長で退官。現在、経済安全保障マネジメント支援機構上席研究員、合同会社OFFICE TOYA代表、TOYA未来情報研究所代表、金沢工業大学特任教授(危機管理論)。
編集部より:この記事は一般社団法人 日本戦略研究フォーラム 2025年8月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は 日本戦略研究フォーラム公式サイトをご覧ください。