しかしながら、行政による憲法解釈の変更は、その主体である内閣の責任によって行われるものであり、立法と司法を拘束するものではありません。国際情勢の変化を考慮した上で、行政権をもつ内閣が古くなった憲法解釈の変更を適正に行ない、立法権をもつ国会が正統な手続きの下に法を制定し、司法権をもつ最高裁判所が違憲立法審査を行うというのも一つの合法的な手続きです。
人間が制定した憲法を「普遍の真理」とするのは宗教的であり、憲法に信仰心を求めるのは間違っています。公務員には憲法を尊重し、擁護する義務がありますが、国民の理解の下で、その解釈を変更し、法を改正する権利も持っています。ちなみにこのとき、内閣を構成する自公勢力は、安保法制の制定を公約として国政選挙に大勝していました。
なお、安保法制は現在の国際情勢の下で有効に機能しており、
<事例2>憲法九条
<事例>参・憲法審査会2018/02/21
福島みずほ議員(社民):憲法九条が規定する平和の構築を、まさに全力でそのことに向かって努力をしなければならない。現実に合わせて憲法を変えるのではなく、憲法が掲げる理想に向かって私たち政治は努力をすべきである、そう思っています。憲法九条にはたくさんの効用があります。最大の効用は、日本の若者が、日本の人々が諸外国で戦争で亡くならなかったということです。憲法九条はたくさんの人の命を守ってきました。もし憲法九条がなければ、日本は朝鮮戦争、ベトナム戦争などに日本の若者を送り、まさにそこで死者が出たかもしれません。まさに憲法九条は日本人の、日本の若者の命を守ってきました。九条の効用は戦後七十数年にわたり威力を発揮し、それを守らなければならない、そう思います。
「憲法九条が日本を守ってきた」という主張は、いつまでも立証されないままに護憲派のお題目と化してます。もちろん、この主張を根拠にして憲法改正に反対するのであれば、この主張が真であることを立証する必要があります。