しかし、「大規模な入植地ブロックはイスラエルに編入」する代わりに、パレスチナ側に他地域を「領土交換(landswap)」で補償という形が模索されている。

また、東エルサレムは国連・EU・日本・ICJなどは、1967年まではヨルダン領であり、占領地として扱い、将来のパレスチナ国家の首都とすべきとしているが、イスラエルは「エルサレムは不可分の首都」として東西併合を宣言(1980)している。

⑻ネタニヤフ政権

ネタニヤフ政権(2022~、極右・宗教右派との連立)は、パレスチナ国家の樹立は拒否し、ヨルダン渓谷および主要ユダヤ人入植地(西岸の約30%)は「イスラエルの安全保障のため不可欠」として恒久支配し、それ以外の地域(パレスチナ人居住区)には限定的な自治を与える意向。ネタニヤフ政権の核心は、西岸の大部分(パレスチナ人居住地域)を「恒久的に未解決状態で維持」すること。

「併合派(宗教右派・極右)」は、パレスティナ全域の併合を主張するが(「オスロ合意は失敗」「パレスチナ国家は永遠に認めない」)、「パレスチナ人はヨルダンへ移住すべき」とするものもあるが、普通には、そこに住むパレスチナ人(約280万人)にも参政権を与えるべきである。現在は、ユダヤ人が多数派だが、いずれ、逆転の可能性もある。

併合派は、「市民権付与には忠誠宣誓などの条件を課す」「段階的に市民化する」「パレスティナ地方をあえて「国家」にもしないし、「市民権」も与えない」などとしているが、現在、イスラエルに居住するアラブ人には参政権が与えられており、それとの比較でも不自然である。

つまり、イスラエルがパレスティナ国家を認めないのであれば、それに代わる合理的な提案は、イスラエル領土を含むパレスティナ全域を一つの国家として、完全な人種平等を実現し、将来は南アフリカのボーア人のように少数民族として暮らすことしかないと思う。

参考:イスラエルの人口は990万人でアラブ人21%。ガザは238万人で、ほぼ全部がアラブ人。ヨルダン川西岸は380万人で、81%がアラブ人。