大自然のなかに、クルマというパーソナル空間を持ち込めるオートキャンプ。
車内は究極のプライベートスペースですが、アウトドアリビングを組み合わせれば、まるで愛車がもう一段広がったような開放感が楽しめます。
そんなシーンで活躍するのが、カーサイドタープです。
中でも、スタイリッシュなデザインと機能性で根強い人気を誇るのが、muraco(ムラコ)の「PENELOPE CAR SIDE TARP(ペネローペ カーサイドタープ)」。
2021年の初登場以来、再販のたびに完売を繰り返してきたこのモデルが、この春ふたたび登場します!
この記事では、キャンプ初心者で普段はもっぱら車中泊派の筆者が、話題の「ペネローペ」をハイエースに実際に取り付けて徹底検証。
ひとりでも設営できるのか?使い勝手や広さはどうか?――リアルな視点から、その実力を詳しくレビューします。
目次
「PENELOPE CAR SIDE TARP」基本情報
実際にハイエースに設営!設置手順を詳しく解説
「PENELOPE CAR SIDE TARP」基本情報
PENELOPE CAR SIDE TARP(ペネローペ カーサイドタープ)
発売日:2025年4月25日一般販売開始(予約受付中)
価格:税込59,400円
カラー:ブラック
サイズ:設営時W330×D295×H210cm、収納時W60×D25×H22cm
重さ:6.1kg
素材:68Dリップストップポリエステル(本体)、アルミニウム合金(フレームポール)
耐水圧:1,500mm
内容物:フレームポール・幕体・収納バッグ・ポールサック・ペグサック・ペグ×12本・ロープ×4本・吸盤×2個
公式サイト:muraco
「ペネローペ」こと「PENELOPE CAR SIDE TARP」は、車高170cm~200cm、ルーフ長150cm以上の幅広い車種に対応する汎用型カーサイドタープです。
トヨタ・ハイエースのようなワンボックスカーから、スズキ・ジムニーやハスラーといった車高のある軽自動車にも適応できる柔軟性があります。

ハンドル付きの収納バッグに、フレームポール・幕体・ポールサック・ペグサック・ペグ・ロープ・吸盤がセットになっており、価格は税込59,400円。
重さはカタログ値6.1kg、すべてをバッグに収納した状態の実測値6.6kgほど。
収納時のサイズはW60×D25×H22cmで、Snow Peak(スノーピーク)の2名用テント「ランドネストドーム S」と近いでしょうか。
成人女性の筆者の場合、片手で高く掲げ続けるようなことは難しいですが、ハンドルを手に提げたり抱えて移動する分には問題ありません。
力に余裕のある方であればさらに扱いやすいと感じるはずです。

天幕のほか、ペグやポールもブラックで統一されてソリッドな雰囲気。
オプションとして、タープを自立させた際に目隠しできるカーテン「CURTAIN for PENELOPE」(税込8,800円)や、設営を補助する「GIGA BAND」(Sサイズ税込1,320円/Lサイズ税込1,540円)も同時に販売されます。
実際にハイエースに設営!設置手順を詳しく解説
実際にオートキャンプ場に持ち込み、ハイエースで設営を行いました。
当日の天候は薄曇りで、風速2m/sとほぼ無風、サイトはウッドチップ敷きです。
時折、瞬間的な突風がありましたが設営には好条件でした。
設営方法については付属のマニュアルのほか、muraco公式の解説動画も参考にしつつ、手順を追って進めていきます。
手順① 天幕とポールの準備

まずはクルマの脇に天幕を広げます。
ハイエースと比べてみるとサイズ感がわかりますが、横幅は3m以上になり、体感で4畳半ほどの面積があります。
「結構大きい!」というのが第一印象です。
天幕はブラック1色のため、初見だと前後左右に迷うものの、白い「m」のロゴマークが表側かつ前側を示しているので、よい目印になります。

広げた天幕が風にあおられないように注意しながら、3本のポールを組み立てます。
ショックコードで連結されているので、ポールの組み立ては非常に簡単。
天幕の対角線上でクロスするようにフレームポール×2本を取り付けた後、天頂部のリッジポール×1本を取り付けます。

いずれも、ポール先端をポケットやハトメに差し込むだけなので、作業としては単純ですが、初使用のため生地に硬さがあります。
ポケットを十分に広げたり、テンションがかかったアルミポールを扱ったりするのには力が必要で、筆者は少し苦労しました。
このあたりは、使っているうちに馴染んでくる部分でしょう。
逆にとても簡単で驚いたのが、天幕の固定。

フックをかけるだけで装着できるため、スリーブに通したり紐を結びつけたりといった手間がなく、ワンタッチで着脱できます。
この段階でタープが立ち上がり、全体像が見えてきました。
ここまでの手順は非常にスムーズでしたが、次はいよいよクルマとの連結です。
手順② クルマとの連結

クルマとの位置関係を見ながら、どこに連結するかを決めていきます。
タープ本体は非常に軽いのですが、天頂部が最高で2mほど。
ひとりで全体を持ち上げることは困難だったため、地面を引きずるように移動させる必要がありました。
取り付け時には「あと10cm右……」といった微調整もしたいので、ここだけは複数人での作業がおすすめです。

位置を決めたら、車体に吸盤を貼りつけます。
車種によって全長は異なりますが、複数のハトメが用意されており(吸盤取付範囲:130〜215cm)、最適な位置で取り付け可能です。
……と、ここで気づきました。
吸盤は片手でしっかり固定しながら、もう一方の手でネジを締めることで空気が抜け、強く吸着する仕組み※。
ハイエースのように自分の身長よりも屋根が高いクルマに取り付ける場合、脚立や踏台など、両手が自由になる足場が必須です。
普段ルーフを点検するときなどはタイヤの上にのる方法もありますが、今回はそれでは不十分でした。
また吸盤の性質上、接着面にホコリなどがないよう、ツルツルにすることが必要です。
キャンプ場は自然豊かな場所にあることも多いでしょうから、海辺や山道を走行してきた後などは少し苦労しそうです。
たとえ目に見えないほどのザラつきでも、少しでも異物があると吸着しないので、車体・吸盤どちらも綺麗に保つことが求められました。
加えて、大きくカーブしていたり、凹凸があったりするルーフでは、取り付けできる場所が限られます。

私のクルマの場合、塗装の関係もあってかルーフ部には上手く吸着しなかったため、やむなくボディ側面に設置。
ルーフに比べるとカーブが少なく平坦なので、よく吸いつきました。
公式サイトやマニュアルにも「吸盤の設置場所によっては吸着しにくい場合があります」「クルマの特徴や形状に合わせた工夫が必要になります」とあり、実際の状況に応じた試行錯誤は不可欠です。
※2025年4月以降に再販されるモデルでは、吸盤の仕様が変更されています。新仕様では「レバーによる減圧固定」と「フックによるタープ連結」方式が採用されており、取り付け方法が一部異なります。

もし吸盤を取り付けられない車種の場合、別売りの「GIGA BAND」を購入することで、バンドによる固定が可能になります。
丈夫なナイロンバンドと広いベルクロで、ルーフキャリアやアシストグリップを起点に連結することができます。
手順③ ペグダウン

ロープには、muraco独自の「TRIANGLE TENSIONER(トライアングルテンショナー)」があらかじめ装着されており、ロープの張り具合を細かく調整できる仕組みになっています。
車両側面に正対したとき、三方向にしっかりペグダウンできるのが理想ですが、サイトの形状によっては難しいこともあるでしょう。

この日利用したキャンプサイトでは、駐車スペースのすぐ背後に側溝と石垣があり、ペグを打ち込める方向が限られてしまいました。
ペネローペを快適に使うなら、駐車位置の自由度の高いキャンプ場や、予約時に自分でサイトを選べるキャンプ場がよさそうです。