深海生物を2つの陣営に分ける”見えないライン”が存在したようです。
イギリス国立海洋研究所(NOC)を中心とする国際研究チームが、水深の違いによって深海生物のあり方がどのように変わるかを調査したところ、水深約4400メートルより上のラインには硬い殻を持つ生物が豊富であるのに対し、下のラインにはグニャグニャした殻のない生物が支配的な傾向が見られたという。
これは硬い殻を作るのに必要なある化合物の入手可能性が関係しているようです。
研究の詳細は、2023年7月24日付で科学雑誌『Nature Ecology & Evolution』に掲載されています。
目次
- 火星表面よりも未知な深海の世界
- 深海生物のあり方を変える「見えないライン」があった!
火星表面よりも未知な深海の世界

深海は地球表面の60%以上を占めていますが、その全貌や生物相はほとんど明らかになっていません。
そのためしばしば言及されるように、地球の深海よりも火星表面の方が遥かによく知られています。
というのも深海は肺を押しつぶす水圧、凍りつくような低温、日光の届かない暗闇など、生身の人間を寄せ付けない世界だからです。
数十年前まではまともな調査もできない状況でしたが、今ではロボット工学や探査技術の進歩により、深海の世界が徐々に明らかになりつつあります。
深海は主に水深200メートルより深いところを指し、
・水深200〜1000メートルを「トワイライトゾーン(中深層)」
・水深1000〜4000メートルを「 ミッドナイトゾーン(漸深層)」
・水深4000〜6000メートルを「アビサルゾーン(深海帯)」
・水深6000〜10000メートルを「ヘイダルゾーン(超深海帯)」
と分類します。
スクロールすると深海にどんどん潜れるサイト「The Deep Sea」は時間が溶ける面白さ