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この記事では、財産所得の国際比較をご紹介します。
1. 日本の財産所得
前回は、日本の経済主体別に財産所得を可視化してみました。
付加価値の生産に伴う所得ではなく、資産の運用によって得られる財産所得は日本の場合徐々に増加傾向にあるようです。
今回から、財産所得についての国際比較をしていきたいと思います。
まず、日本の財産所得について確認してみましょう。

図1 財産所得 日本国民経済計算より
図1が日本の財産所得の推移です。
賃貸料、利子、海外直接投資に関する再投資収益、法人企業の分配所得、その他の詩投資所得といった項目が、受取側(プラス)、支払側(マイナス)の両側に同じくらいずつ計上されています。
これは、基本的に財産所得は国内主体同士で受払いがされているためで、それぞれの差分は海外に対するものとなります。
財産所得(受取)の合計から、財産所得(支払)を差し引いた財産所得(正味)が、結果的に海外に対する正味の財産所得となります。
今回は(正味)と記載しますが、資料によっては海外からの純受取と表現されることもあるようです。
日本の場合は、財産所得(正味)は徐々に増加していて、2022年では33.9兆円に達しています。
今回は、この日本の水準が海外と比べてどの程度なのかを国際比較していきたいと思います。
2. 1人あたりの推移
まずは、人口1人あたりの財産所得(正味)について、為替レートでドル換算した推移から眺めてみましょう。

図2 1人あたり財産所得(正味) 為替レート換算値OECD Data Explorerより
図2が主要先進国の1人あたり財産所得(正味)のドル換算値(為替レート換算)です。
所得なので購買力平価(家計最終消費支出)でドル換算しても良いと思うのですが、国際的な金額の大小が重要と思いますので、今回は為替レートでドル換算した数値をご紹介します。