そんな中で新たに見つかった三葉虫の化石は、史上最高の完成度で保存された驚くべきものでした。
では、実際の化石を見てみましょう。
火山灰に飲まれたことで完璧なシルエットが残された!
三葉虫の化石は北アフリカのモロッコにある約5億1500万年前のカンブリア紀の地層から発見されました。
ここで見つかったのは三葉虫の体そのものではなく、三葉虫の体の痕跡を留めた印象化石です。
印象化石とは古生物の体の形状や足跡を残した化石を指します。
今回の化石は火山灰が堆積してできた岩石の中から回収されました。
研究者によると、当時モロッコの火山が噴火したことで、大量の火山灰が浅瀬に降り注ぎ、そこにいた三葉虫を一瞬にして埋め尽くしたと考えられています(下図を参照)。
人生を謳歌していた三葉虫にとっては災難でしたが、そのおかげで軟組織を含めた全身が丸ごと保存されました。
そして年月とともに堆積物の中の軟組織は分解されてしまいましたが、三葉虫の精巧な3Dシルエットが岩石中に残されたわけです。

これと同じ例としては、西暦79年に火山の噴火によって埋没した古代ローマの都市・ポンペイが最も有名でしょう。
ポンペイも町が丸ごと火砕流に飲み込まれたことで、当時の生活文化がそっくり保存されたのです。
中には今回の三葉虫と同じように、火山灰の中で亡くなった人々のシルエットが大量に見つかっています。
こちらはそのシルエットに石膏を流し込んで復元された遺体の復元像です。
