この仮説を検証するために、研究チームは、2019年に発表済みの実験データを再分析しました。

なお、2019年の論文では、全身法と分割法のトレーニング効果を主に筋力向上と筋肥大の観点から調べた結果、2つの方法が同じぐらい有効なことを示しています。

実験では、3年以上の筋トレ経験を持つ男性の筋トレ愛好家を次の2つのグループに分けた上で、8週間のトレーニング介入を行いました。
・全身法群
・分割法群

2つのグループともに、器具を使った本格的なトレーニングを週5回していますが、全身法群では、一度に全11種目を実施したため、各種目のセット数は1-2セットです。

一方、分割法群では、1度に2、3種目しか実施しない一方で、各種目のセット数が5あるいは10セットです。

一例を挙げると、胸と上腕三頭筋を鍛える日ではベンチプレス10セット、トライセプスエクステンションを5セット、実施しています。

また、トレーニング効果に影響する可能性がある週当たりの各種目のセット数(5セットもしくは10セット)や総セット数(75セット)、強度(1回しか挙げることが出来ない重さの70~80%の重量)は2つのグループで揃えています。

実験の結果、全身法群では、トレーニング期間後の体脂肪が著しく低下していることが分かりました。

ブラジルの研究者による研究結果は、筋トレのやり方によって、体脂肪への効果が変わることを示唆している
ブラジルの研究者による研究結果は、筋トレのやり方によって、体脂肪への効果が変わることを示唆している / Credit: Canva

例えば全身の体脂肪量で見ると、分割法群ではトレーニング期間後に平均0.8kg減っていたのに対し、分割法群では逆に平均0.3kg増えていました

これは、全身法が体脂肪の減少に効果的という、彼らの仮説を裏付けるものです。

各種目のセット数、総セット数および強度が一緒なのにも関わらず、どうして2つのグループの体脂肪の減り方には差が生じたのでしょうか?

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