起業してみて経営の面白さに目覚める
組田氏は理系で、グラフィックデザインをパソコンで作るなど、もともとはものづくりに興味があった。実際、起業に参画したのも、自分の作ったものを多くの人に届けたいという気持ちがあったからだ。しかし、起業してみて会社経営に興味が湧くようになった。
「経営は仕事として日々やることが変わる。どんどんフェーズが上がっていくので、自分の視野が広がっていくような感じがしたし、それがとても楽しかった。今の会社を立ち上げたのも、その感覚をまた味わいたかったからです。もっと高みを目指したいという感覚です」
ものづくりが好きなエンジニアには、自分の作ったプロダクトを手放したくないという熱い思いを語る人も少なくない。しかし、組田氏はエンジニアよりも冷静なアントレプレナー(ゼロから新しい事業を立ち上げる起業家)としての顔を見せる。
「もちろん、(プロダクトに)思い入れはあります。でも、同じところにずっと留まっていても仕方ないという感覚が強い。資本業務提携をしたときも心配はなかったし、未知の世界にワクワクしました」
今後の挑戦について、次のように話す。
「僕はこのメディカルフォースで時価総額1兆円規模は目指したい。40代半ばくらいまでにそこまでたどり着ければいいですね」
組田氏は現在、美容と警備の次に参入できる市場を模索している。いまだDX(デジタルトランスフォーメーション)が及ばずくすぶっているような産業がターゲットで、ITやソフトウェアの力で本来のポテンシャルを発揮できるような状態にしていくことが目標だ。次に組田氏がどの業界を選ぶのか、今後に注目したい。
(文=横山渉/ジャーナリスト)