サービスを増やし他業界への展開を

 メディカルフォースを立ち上げたのは、CTO組田氏とCEOの畠中氏を含む3名。その後、経営陣の入れ替えを行い、COOに羽富が就任した。

「参入する業界については、創業者同士でかなりヒアリングしながら決めました。現在5期目ですが、スタートアップ立ち上げ期と成長期は別だと考えており、そのタイミングで経営陣の入れ替えを行いました。今後は組織も大きくなっていくので、今までみたいに阿吽の呼吸で経営するのは結構難しい。もっと緻密に企画を達成していくことが必要であり、しっかりした指揮系統を敷いて組織全体を動かしていくためにバトンタッチしました」

 現在は美容と警備という2つの業界でサービスを展開しているが、組田氏はビジョンを実現するために新しいサービスの立ち上げも必要だと考えている。

「社名はメディカルフォースですが、業務すべて完結できるオールインワンサービスのプロダクトをベースに、データ基盤や顧客基盤を使って、その産業自体の成長に寄与する事業を立ち上げていきたい。ただ、あまり市場規模が大きくなくて、業務が煩雑で困っている業界を開拓していきます」

 事業拡大に伴い、組織の多重階層化は避けられないと認識しており、今後はチームを適切に管理・育成できるマネージャー層の採用を強化していくとしている。

 組田氏は、過去にスタートアップの共同創業やM&Aを経験しているシリアルアントレプレナー(連続起業家)だ。そのときの経験がメディカルフォースの組織づくりや事業戦略に生かされている。

大学時代「終活ねっと」立ち上げに参画

 組田氏は東京大学在学中の2016年春、葬儀や墓などに関する情報サイト「終活ねっと」をCTOとして共同創業した学生ベンチャーだ。同サイトは月間1000万PVにまで成長し、DMMが18年10月に資本業務提携し、20年3月に完全子会社化した。その後、DMMは「終活ねっと」サービスを22年5月末に終了している。

 組田氏は参画した経緯や資本業務提携の背景など、当時のことをこう話す。

「先輩(CEOの岩崎翔太氏)から誘われたからというのが一番のきっかけです。私は工学部でパソコンを触っていたというだけで、なんとなくCTOになった(笑)。メディアなのでシステム自体は大変ではなく、リリースまでは3カ月でしたが、それから記事集めや投稿に時間がかかりました。立ち上げるまで投資家の方に結構話を聞いて、終活をテーマに選んだ。技術的な難易度が高い世界でもないので、学生スタートアップとしてはやりやすかった。メディアの売り上げは広告が基本なので、正直、それほど立っていなかったのですが、単価の高いお墓や葬儀などをやり始めて、数字も伸びていきました。DMMから資本業務提携のお声掛けをいただいたのは、そのタイミングです」