ここまでは予想通りの結果かもしれません。
しかし注目すべきはその後です。
ゴースティングされた人たちは「もう終わった」と言われたわけではないため、相手への感情的なつながりを捨てきれず、執着や未練を抱き続ける傾向が強く見られました。
実際、彼らはテイラーのSNSを逐一監視する行動や、連絡を再開することを考えたりする傾向が、むしろ「受け入れられた」グループと近い水準にまで達していたのです。
言い換えれば、「はっきり断られるよりも、曖昧に関係が終わる方が心に残りやすい」ということです。
明確な拒絶が「痛みとともに終わり」をもたらすのに対し、ゴースティングは「痛みとともに宙ぶらりんな関係」を残します。
「希望と絶望のはざま」で人は身動きが取れなくなる
この実験は2回行われ、いずれのデータもこの傾向を裏づけていました。
2度目の実験では、さらに「行動意図」に関する質問も加えられました。
たとえば、以下のような行動について「どのくらい実行しそうか」を数値化して測定したのです。
・メッセージを再送する
・相手のプロフィールを見る
・相手がよく行く場所を訪ねる
すると、やはりゴースティングされた人々は、再び連絡をとろうとしたり、相手の情報を探ろうとしたりする傾向が高く、行動的にも「終わりきれない状態」にあることが浮き彫りになりました。
しかも彼らの多くは、「自分がどう思われていたのか」「関係は終わったのか」がはっきりせず、心のなかに「わからない」という苦しみが残っていたのです。
これは心理学で「クローズ(心理的な終結)」が得られていない状態であり、人はこの状態に強いストレスを感じます。
さらに、研究者は別の先行研究も引用しています。
元恋人との接触が続くことで、別れからの回復が遅れることがあるという報告です。
とくに「別れを受け入れられないタイプの人」にとっては、その傾向が顕著だといいます。