また、ミラノ・トリエンナーレの展示「Dafne’s Skin」では、木製外装に微生物が生成する緑のパティーナ(被膜)が現れ、美的効果と炭素固定を同時に達成するという“美しく老いる建築”の試みがなされました。

将来的には、こうした素材を外壁や屋根のコーティング材として活用することで、都市そのものが巨大な炭素吸収体となる未来も考えられます。

とはいえ実用化には素材の耐候性や都市環境への適応といった課題の解決が求められます。

ETHZでは現在、建築家やエンジニアと連携して、都市スケールでの応用可能性を検証中です。

CO2を吸収できるこの「生きた素材」が、コンクリートに代わる新たな建材として普及する日も、そう遠くはないかもしれません。

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参考文献

A building material that lives and stores carbon
https://www.eurekalert.org/news-releases/1088213

scientists create living building material that stores carbon dioxide using growing bacteria
https://www.designboom.com/technology/scientists-living-building-material-stores-carbon-dioxide-growing-bacteria-eth-zurich-06-21-2025/

元論文

Dual carbon sequestration with photosynthetic living materials
https://doi.org/10.1038/s41467-025-58761-y

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。