これは、ザトウクジラの脂肪組織が、効率よくエネルギーに変換されていることを示しています。

しかし、このクジラの生存戦略は、1つの条件に大きく依存しています。

それは、南極の豊かなオキアミ資源です。

近年、南極では海氷の減少や気候変動により、オキアミの個体数が大きく減少していると報告されています。商業捕獲の影響も無視できません。

このオキアミの減少は、ペンギンなど他の捕食者だけでなく、体脂肪の減少を補うための「大食いなクジラ」たちに大きな影響を与えます。

今回の研究は、クジラ1頭が生きて繁殖するのに、どれほどのエネルギーとオキアミが必要なのかを、はじめて定量的に明らかにした点で、重要な意義を持ちます。

そしてこの知見は、今後のクジラ保護政策や南極海の漁業管理における重要な基礎データとなることでしょう。

1年間で体脂肪を大きく変動させなが生きるクジラの暮らしは、私たちに循環保護の大切さを教えてくれます。

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参考文献

Nature’s most extreme fat loss is fueled by 28.5 million shrimp snacks
https://newatlas.com/biology/whales-migration-fat/

‘Feast and fast’ migration sees whales lose 36% body fat
https://news.griffith.edu.au/2025/07/29/feast-and-fast-migration-sees-whales-lose-36-body-fat/

元論文

Drone-Based Photogrammetry Provides Estimates of the Energetic Cost of Migration for Humpback Whales Between Antarctica and Colombia
https://doi.org/10.1111/mms.70048