さらに、この研究では滋賀県内にシナヌマエビも多く生息することが判明したほか、ミナミヌマエビとの交雑を示唆する結果が得られています。
シナヌマエビの輸入経路
シナヌマエビ(Neocaridina davidi)は中国などを原産とする小型のエビです。
日本には少なくとも3系統が侵入していることが明らかになっているものの、分類が困難であることから「シナヌマエビ種群」とも呼ばれています。
日本では釣り餌(通称「ブツエビ」)として、1969年以降に本種を含むカワリヌマエビ属のエビが韓国から輸入され始め、2001年に韓国でシナヌマエビの野外採集が禁止されてからはそれを補うように中国からの輸入が始まりました。
日本へ輸入されたシナヌマエビは釣り餌としてだけではなく、観賞用としても広く流通し、アクアリウム業界では日本在来種と同じ名前である「ミナミヌマエビ」の商品名で流通することがほとんどです。
シナヌマエビの影響
日本在来種であるミナミヌマエビに酷似したシナヌマエビですが、現在は日本の広域から発見されており、侵略性が強いことから、ヌカエビやミナミヌマエビなど在来種への負の影響が知られています。
実際、鶴見川水系に侵入したシナヌマエビが短期間でヌカエビを駆逐したほか、埼玉県でも多く地点でヌカエビが駆逐されているようです。
また、兵庫県夢前川水系では、30年前の調査で河川全域にミナミヌマエビが生息していたことが明らかになっていますが、先日公表された論文「River dam prevents the invasion of non-native species of Neocaridina Kubo, 1938 (Decapoda: Caridea: Atyidae) into native habitats: A case study in the Yumesaki River system, Japan」では同水系におけるミナミヌマエビの生息はダムの上流側であるとされ、ダムよりも下流はすべての地点でシナヌマエビに置き換わっていることが明らかになっています。