それぞれ詳しく解説していきます。

助成金支給までに時間がかかる

キャリアアップ助成金は、申請から実際の支給までに長い期間を要します。

例えば「正社員化コース」の場合、対象者の正社員転換後6か月間の賃金支払い実績を確認したうえで申請が可能です。

さらに審査に数か月を要する場合もあるため、支給までにトータルで正社員化から1年近くかかることもあります。

中小企業にとっては、キャッシュフローに余裕がない中での立替的な支出となるため、制度を活用する前に資金繰りの見通しをしっかり立てておく必要があります。

就業規則への明記が必要

キャリアアップ助成金を活用するためには、正社員転換制度や賃金規定などの制度内容を就業規則に明記しておく必要があります。

制度が文書化されていない場合は、助成金の対象とならない可能性があるので注意してください。

また、就業規則を変更する際には、労働者代表の意見を聴取し、変更後の就業規則を労働基準監督署に届け出る必要があります。

中小企業ではこの手続きが後回しにされがちですが、助成金の審査では制度の整備状況も厳しく確認されるため、早めの対応が重要です。

遡って訂正はできない

キャリアアップ助成金は、事前の手続きを正しく行っていない場合、あとから制度の導入や計画書の提出を遡って修正することは認められていません。

例えば、キャリアアップ計画の提出前に正社員化してしまった場合、その社員について助成金を申請することはできなくなります。

「あとで整えれば大丈夫」という考えは通用せず、制度の適用にはタイミングと手順の厳守が求められます。

助成金を活用する際は、計画的に準備を進め、事前に必要な手続きや届出を確実に済ませておくことが不可欠です。

まとめ

キャリアアップ助成金は、非正規雇用の従業員を正社員化・処遇改善する中小企業にとって、非常に有効な支援制度です。

各コースの内容や申請手続きを正しく理解し、活用することで、人材の定着や採用力の向上にもつながるでしょう。