CNN論評は参政党の代表の神谷宗幣氏についても詳しい経歴を紹介し、「日本の新しい右派の代表」と特徴づけていた。ただし参政党が参院でこれまでの1議席から一気に14議席を獲得したことは重視すべきで、今後の日本の政治の保守化傾向を明示したとも論評した。
一方、ワシントンの大手研究機関「戦略国際問題研究所」(CSIS)は日本部のニコラス・シェーチーニ氏らの日本の参院選結果への見解として「日本国民の自民党の石破茂政権下での政治的な不満と経済的な停滞への反発」が主要な特徴だと論評した。7月22日に発表された論評だった。
この論評は自民党が石破首相の下での2024年10月の衆議院選挙ですでに過半数を割り、今年6月の東京都議会選挙でも大敗を喫したことを指摘し、今回の参院選で自民党が史上初めて衆参両院で少数与党となった点を強調し、もっぱら「石破茂首相の下での自民党の不人気」に最大焦点を合わせていた。そして総括として「石破首相に対する重大な打撃」と評した。
ただしCSISの論評は自民党の敗因の一部として「ポピュリスト的な野党の人気の増大」をも挙げていた。その野党の具体的な名称こそ挙げなかったが、最も顕著な議席の増加をみせた参政党を意識している点は明白だった。
またこの論評は今回の選挙の結果が日本の今後の内政や外交に及ぼす影響についても辛辣な見方を明らかにしていた。以下のような考察だった。
「今回の選挙の結果は日本の内政の不安定な時期を長引かせ、対外的にも明確なリーダーシップの発揮を阻むだろう。いまの日本は米国との関税交渉を含む対外、内政両面での重大な政策チャレンジに直面しているのだ」
つまりは今回の参院選の結果は日本にとって内政、外交の両面で迷走や停滞の時期を長く続けさせるだろうという意味である。いわば自明の予測だが、米国側から見ると日本のこの混迷は日米関係への深刻な阻害になるという懸念をにじませた論評だといえよう。