2019年にはUEFAチャンピオンズリーグを再び制覇し、翌年にはプレミアリーグ初優勝も果たした。その原動力となったのは、ゲーゲンプレスを中核としたダイナミックなスタイルと、FWモハメド・サラー、FWサディオ・マネ(現アル・ナスル)、FWロベルト・フィルミーノ(現アル・サッド)といった世界屈指のアタッカー陣の活躍だ。

戦術面でも大きな変化を遂げた。2005年当時はリトリートしてブロックを形成する守備重視のチームだったが、クロップ時代には全員が連動して相手を高い位置で奪い、即座に攻撃へ転じるアグレッシブなサッカーが主流となった。GKに至っては、ビルドアップに参加し裏へのボールも配給する役割を担うなど、すべてのポジションが進化している。

遠藤航 写真:Getty Images

若き才能とベテランの融合

今年の日本ツアーに帯同するメンバーには、2025/26シーズンに向けた「次世代の主役」が揃っている。なかでも注目は、今夏獲得したMFフロリアン・ヴィルツ。ドイツ代表としてUEFA EURO2024でも活躍したアタッカーで、前線の創造性とダイナミズムを兼ね備える22歳だ。10番的な存在として、サラーの後継候補とも言われている。

MF遠藤航は2023年の加入以来、指揮官の信頼を勝ち取った存在だ。アンカーとして中盤のバランスを担い、時には最終ラインへのカバーもこなしている。「縦への意識」と「守備での統率力」は世界でも高く評価されており、その存在感は確かなものだ。

最終ラインでは長年チームを牽引してきたDFファン・ダイクがなおも中軸として君臨し、スピードや空中戦の強さ、カバーリング、リーダーシップとすべてを備え、今なお“世界最高CB”の一角として活躍している。

FWルイス・ディアスも、ウインガーとして相手DFを切り裂く強烈なドリブラーだ。南米的な技巧と爆発力は、クロップ時代のダイナミズムを象徴する存在である。


アルネ・スロット監督 写真:Getty Images

変化するクラブの“顔”と象徴の継承