もう1つは、これらの題材が自身の貧困を想起させるため、心理的負担が増大しそれが成績に悪影響を及ぼしているというものです。

これは「社会的関係」の題材でも同様かもしれません。

研究チームによると、「低所得者層の子供は、基本的なニーズを満たすために他人の顔色をうかがう場面が多い」とのこと。

そのため低所得者層の子供たちは、自分の好みよりも周囲の希望に合わせる傾向があり、こうした背景が、何らかの影響を与えている可能性も考えられるという。

「公平な教育」を目指すには!?
「公平な教育」を目指すには!? / Credit:Canva

いずれにせよ、算数の問題文とは子供たちが問題の意味を理解し、解決への道筋をイメージしやすくするために作られているものです。

その題材が、特定の子供たちにとって問題解決へのイメージを妨げる原因になっているとしたら大きな問題です。

今回の研究結果を考えると、「算数のテストから、食べ物やお金に関する問題は無くしたほうが良い」と感じるかもしれません。

しかし研究チームは、そうすることは「望ましいことではなく、現実的でもない」と述べています。

だからこそ彼らは、低所得者層の子供たちが抱く「お金」や「食べ物」に対する偏見を軽減するような「何らかの介入」が必要だと主張しています。

もちろん、今回の研究には、両親の教育に関するデータなどが含まれていないため、いくから限界があります。

それでも、私たちが考えている以上に、義務教育の段階においても経済的な格差は大きいのかもしれません。

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参考文献

Poor students perform worse on math questions about money and food, study shows
https://www.psypost.org/poor-students-perform-worse-on-math-questions-about-money-and-food-study-shows/