また、恋愛を「自分の価値を証明するための手段」としてしまうと、相手との関係が面接のようになってしまい、相手に過度に気を遣いすぎたり、緊張しすぎて、本来の魅力や自然な親密さを発揮しにくくなってしまうのです。
逆に、内発的な動機を持つ人は、恋愛を楽しみたいという自律的な気持ちから行動するため、相手にも自然体で接しやすく、関係が築きやすいのだと考えられます。
このため恋愛を「すべきこと」や「埋めるべき空白」としてではなく、「人生の一部として楽しみたい」と感じている人たちの方が、実際に関係を築くチャンスを得やすいのかもしれません。
恋人ができない人は恋愛の出発点を見直すべきかも
今回の研究は、「なぜ恋愛したいのか?」という私たちがあまり意識しない問いに、科学的に迫った点で注目されます。
心構えや動機は、重要なものだとは思えるものの、実際半年間で恋人ができる割合に有意に関連していたというのは意外に感じる人も多いでしょう。
この研究の結果を踏まえると、恋愛を上手く成就するには次のようなことが重要と考えられます。
- 恋人を“自分の価値を証明する手段”にしない
恋愛で自分の欠点を埋めようとすると、相手への期待や不安が大きくなりすぎて、自然な関係を築きにくくなります。
恋愛を自分の「欠けている部分を埋める手段」ではなく、自分がすでに持っている日常や人生を、誰かと共有してより豊かにする経験として捉えることが大切です。 - 「なぜ恋愛したいのか?」を一度書き出してみる
今回の研究では、「不安」や「恥ずかしさ」からくる動機は交際成功率を下げる傾向にありました。
自分の気持ちがどこから来ているのか、自分なりに言葉にしてみることで、無意識の焦りに気づくきっかけになるかもしれません。もし「誰かと時間を共有したい」「一緒に何かを楽しみたい」など、肯定的な動機が見えてくれば、それが行動の指針になるでしょう。 - “恋愛しなければならない”というプレッシャーから距離を取る
外的動機(親や友人の期待など)や無動機(特に理由がない)で恋愛を望んでいた人の中にも交際に至った例はありましたが、 いずれも「恋愛は当然するもの」という考えに縛られていない点が共通しています。
“恋愛すること自体が正しい”という価値観から一度距離を取り、肩の力が抜いて過ごすことも恋愛関係を作るためには重要だと研究は示しています。