これらの仮説を検証するため、研究チームはまず、様々な実験で用いられる場合と同じく、十分に訓練されたマウスを次のように用意しました。
喉が渇いたマウスを拘束し、音に反応して前足で右か左にハンドルを回すよう訓練したのです。
1つ目の音はハンドルを右に回すことに対応しており、2つ目の音は左に回すことに対応していました。
そしてマウスが音に対して正しい方向にハンドルを回した時にだけ、報酬として水が与えられます。
間違った方向にハンドルを回したり、まったく回さなかったりすると、報酬はもらえません。

研究チームは、このトレーニングを繰り返すことで、マウスたちがルールを理解し、正確にタスクを実行できるようになることを確認しました。
マウスたちはこのタスクを習得したのです。
しかし、それだけではなく、マウスたちは時に誤った反応を示すことがありました。
どの音が再生されても、ハンドルを同じ方向に繰り返し回転させることがあったのです。
では、「単純な失敗」にも見えるこのマウスの行動の背後には、どんな要素が隠れているのでしょうか。
ストレスでミスしただけでしょうか、それとも、一種の探索行為として意図的に間違っているのでしょうか。
研究チームは、この点を追加の実験で確かめました。
実験用マウスは一種の探索行為として「意図的に間違えていた」
追加の実験では、十分に訓練されたマウスに対して、報酬を与えることを一時的に中止しました。
つまりマウスは正しい方向にハンドルを回しても、報酬の水がもらえなくなったのです。
そうすると、どうなったでしょうか。
すぐに正解の反応が倍増しました。
マウスは失敗を犯すことをやめ、どちらの音に対しても右と左にハンドルを訓練時に報酬がもらえた正しい方へ回し始めたのです。
