心臓発作といえば、「ウッ」と急に胸を押さえて床に倒れ込むという劇的なシーンを想像する人は少なくないでしょう。
映画やテレビドラマの中で繰り返し描かれるこの”ハリウッド式心臓発作”のイメージは、視聴者の脳裏に強く刷り込まれています。
しかし、現実の心臓発作は、そのような劇的なものばかりではありません。
アメリカのイリノイ州立大学(ISU)とテキサス大学アーリントン校(UTA)の研究チームは、人々がどのように心臓発作の胸痛をイメージしているのかを調査しました。
その結果、多くの人々が偏ったイメージを持っているが明らかになったのです。
この研究成果は、2025年5月8日付の『Heart & Lung』誌に掲載されました。
目次
- 本当の心臓発作は「ドラマのように派手じゃない」
- 多くの人が心臓発作の症状に対して「偏ったイメージ」を持っていると判明
本当の心臓発作は「ドラマのように派手じゃない」
心臓発作(医学的には急性冠症候群)は、命に関わる緊急事態です。
その代表的な症状は胸の痛みですが、その現れ方は非常に多様です。
にもかかわらず、私たち一般人が心臓発作について抱くイメージは、たいてい”ドラマ的”なものに偏っています。
その代表格が「突然、胸を強く押さえて倒れ込む」というハリウッド的な描写です。

しかし実際の心臓発作は、こうした劇的な痛みよりも、「胸が重い」「押さえつけられるような圧迫感」「なんとなくおかしい」といった曖昧な違和感から始まることが少なくありません。
特に女性の場合、心臓発作の症状が男性とは異なるケースも多く、胃の不快感(胃もたれ、胸焼けなど)、首、肩、背中、あごの痛み、強い疲労感や倦怠感、吐き気やめまい、息切れや動悸などがあります。
それでも人々は「胸が激しく痛まないから大丈夫」「倒れるほどではないから様子見でいいだろう」と考えがちです。