野田氏は21日、記者団に、首相の続投表明について「だらだらとした政治をいつまで続ける気なのか、だらだらと民意を無視して居座り続けるのか。あまりにも説得力がない」と批判した。一方で、立民として内閣不信任決議案の提出を検討するか問われると「まだ考えていない」とかわした。

野田氏は参院選を政権交代に向けた「ステップ」と位置付けていた。平成19年参院選で自民、公明両党を過半数割れに追い込み、2年後の21年衆院選で民主党(当時)への政権交代を果たした成功体験があったからだ。

今回、野田氏のもくろみ通り与党過半数割れの結果になったが、誤算は参院選で明らかになった立民の党勢の陰りだ。

臨時国会での不信任案提出について、党内では「提出して衆院選になっても、この結果では勝てない。不信任案は出せない」(中堅)と慎重論が拡大する。ベテランも「負けも負け。不信任案どころではない」と断じる。

首相は21日の記者会見で連立政権の枠組み拡大は否定しつつ、社会保障政策で「野田代表と認識を共有する部分も多い」と語るなど、「野田代表」と何度も口にし、秋波を送った。

野田氏は選挙後、自民との大連立を否定した。政権交代を訴え、参院選を戦った自民との連携は自己否定になるためだ。ただ、政権にとっては不信任案を提出しない野党は脅威でも何でもない。提出を与党にちらつかせながら政策協議を行うのとは全く意味が異なる。

別のベテランは「与党と個別協議をして政策を実現しても、国民から大連立と受け止められたら立民の存在意義が問われる」と忠告した。(千田恒弥、深津響) (2025/7/21 産経新聞)