ここまで考えてみると、現実の自白剤のほとんどが役に立たないと分かります。
フィクションに登場する自白剤に近いのは、チオペンタールかもしれませんが、投与された人の言葉をすべて信頼することはできません。
実際、薬剤で意識が朦朧としている場合、投与された人は尋問者に好意的になり、「尋問者が望む内容を話す」傾向があるとも分かっています。つまり真実が話されるとは限らないのです。

そして何より現代社会では、自白剤の投与はほとんどのケースで犯罪と見なされます。
2016年の台湾では、女性に「自白剤」を飲ませて自分への好意を確かめようとした男性が逮捕され、懲役4カ月の刑を受けました。
現実での自白剤とは、麻酔薬、睡眠薬、鎮静剤、気分がハイになるアルコールや薬物などです。
しかも、それらによって誘発される言葉は真実とは限らず、大きな副作用が生じるケースが少なくなりません。
私たちの想像する「自白剤」は、やはり映画やドラマの中だけのものでした。
仮に、あなたが誰にも言えない秘密を抱えているとしても、自白剤を盛られてしゃべってしまうとは限らないでしょう。
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参考文献
‘Truth Serums’ Exist – But They Probably Don’t Work The Way You Think They Do
https://www.sciencealert.com/truth-serums-exist-but-they-probably-dont-work-the-way-you-think-they-do
ライター
大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。
編集者
ナゾロジー 編集部