その還付申告についての確認項目の中に、支払先がインボイスの適格請求書発行事業者であるのかも含まれるということです。

税務署が厳しく見るのはインボイスよりも不正還付であることは変わらない

一方で、輸出免税制度等を悪用した不正還付事案や納税圧縮事案などの不正計算については、厳正かつ重点的に対処する方針も同時に示されています。

消費税不正還付に関する事例としては、実際よりも高額な商品を輸出していたかのような輸出申告書を作成したり、架空の免税売上げと架空の課税仕入れを計上する方法により、多額の不正還付を受けようとしていたケースが多く見られます。

そのため、真っ当な輸出取引による還付であったとしても、

■ 輸出取引に係る資料

・商品送り状(インボイス) ・輸出許可通知書 ・EMSラベル ・売上代金を受領したことのわかる通帳のコピー ・総勘定元帳(輸出売上)

■ 上記の仕入れ取引の資料

・納品書 ・請求書 ・買い取り承諾書 ・支払いのわかる預金通帳のコピー ・総勘定元帳(商品仕入れ)

など、山ほど、資料の提供を求められます。

中には、実在しない者やペーパーカンパニーなどを利用した架空の国内仕入れを計上するものもあり、インボイス制度によって、こうした不正に対して一定の抑制が働くとされています。

要するに、まともな申告をしている事業者については、インボイスが導入された後も、あまり税務調査で変わることはないが、架空仕入れ計上などをしている悪質な脱税事案のあぶり出しにこのインボイスが活用される場面はあるということでしょうね。

編集部より:この記事は、税理士の吉澤大氏のブログ「あなたのファイナンス用心棒」(2025年7月24日エントリー)より転載させていただきました。